最高裁勝訴のご報告と支援の現場から

    お知らせ

    2025年6月27日、最高裁第三小法廷(裁判長:宇賀克也)は、2013年から2015年に行われた生活保護費(生活扶助)の引き下げについて、「厚生労働大臣の判断には過誤があり、裁量権の逸脱があった」として、減額処分を違法とする判決を言い渡しました。この判決は、生活保護を利用する人たちが全国で訴えてきた裁判において、初めて最高裁が示した統一的な判断となります。

    【さんきゅうハウスから11名が原告として参加】
    さんきゅうハウスからは11名が原告として裁判に参加しました。
    そのうち3名は判決を迎える前に亡くなられました。
    全国的にも、約1,000人の原告のうち約200人が裁判中に亡くなっており、この訴訟が長期にわたり、当事者にとって大きな負担となっていたことがわかります。

    【判決当日の様子と報道】
    当日、最高裁前には300人を超える人々が集まりました。
    傍聴券の配布は13時50分、抽選は14時10分に行われ、実際に法廷に入ることができたのは30数名に限られました。
    判決後の裁判所前は、勝訴の旗が見えないほどの人であふれていたといいます。
    朝日、読売、毎日、産経、東京、赤旗など、多くの報道機関がこの判決を伝えました。

    【神馬さんが語る、暮らしの実情】
    さんきゅうハウスのスタッフであり、東京原告団副団長でもある神馬さんは、現地で判決を見届けました。
    「朝は飲み物だけ、昼は麺類、夜はご飯。おかずが一品でもあればいい方です。一日600円ほどで食費と日用品をまかなっています。集会に参加するための交通費も、わずかな保護費から工面しています。」
    このような暮らしが、今この社会で続いているという現実があります。

    【支援の現場から見える変化】
    神馬さんは、毎週土曜に行っている食料配布の責任者でもあります。
    現在は毎回30人以上の方が訪れています。
    かつては単身高齢者が中心でしたが、最近では夫婦や子どもと一緒に来られる家庭の利用も増えています。
    生活に困っている人の広がりが、支援の現場でははっきりと見えるようになっています。

    これまで全国の裁判で判断が分かれていましたが、今回の最高裁判決によって、初めて「生活保護費の引き下げは違法である」という統一的な判断が示されました。
    国家賠償こそ認められませんでしたが、処分そのものの違法性が明言されたことは大きな意味を持ちます。
    さんきゅうハウスは、今後も暮らしを支える現場の声を大切にしながら、制度の在り方にも向き合い続けていきます。

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